2006年4月2日

On the FreeWay

旅の始まり
人生も半ばを過ぎたころ、僕は道に迷ってしまった・・・。
わけもわからず、僕は闇の中を駆け出していた。
そして、気がつけば、FreeWayでヒッチハイクをしながら旅をしていた・・・。

僕は旅をしながら、いろいろな人に出会った。
陽気な歌を教えてくれた人、
弾丸のように駆け抜けていった人、
力強く飛び立っていった人
本当にいろんな人に出会った・・・。

彼らが去った後、足元を見てみると、アスファルトには彼らの痕跡が残っていた。
彼らは鋭くとがった魂のエッジで、アスファルトに熱く焼けた痕跡を刻んでいったんだ。
僕は彼らの痕跡に手で触れて、彼らの温もりや彼らの鼓動を感じようとした。
火傷するほど熱い痕跡もあったし、安らげるような柔らかな暖かい痕跡もあった。

彼らは流星のように火花を飛び散らせながらFreeWayを駆け抜けていった。
彼らの生命が瞬いてみせる一瞬の煌めきが僕を魅了してやまない。
ここには、そんな流星たちの軌跡が刻まれている。

FreeWayは自由な道
FreeWayは、無料道路であり、高速道路であり、情報スーパーハイウェイだ。
この道には、様々な車やバイクが走っている。
時には歩いている人だっている。
普通車はもちろん、スポーツカーや商用車、トラックから、
果てはトラクターまで走っている。
時には暴走族や盗難車も走っている。故障車や乗り捨てられた車もある。
道の端には、露店が並んで楽しげに商売をしている人もいる。
時には接触して口角泡を飛ばして喧嘩をしている者もいる。
ここは誰もが自分のスタイルで走るFreeWayなんだ。

ここの道路整備はいいかげんだ。
アスファルトはところどころで割れ目がのぞいている。
交通事故が起こっても救急車は助けにこない。
また、野宿するときもあるだろうし、車を捨てて歩き出すことになるかもしれない。
道から外れると、カモシカやコヨーテに出会うかもしれない。
食べ物だって、いつ手に入るかわからない。
愛らしい瞳の野うさぎを捕まえて、
生きるために彼らの生命を奪うことになるかもしれない。
あるいは、逆に狼の餌食になるかもしれない。

この道では、すべての責任は自分自身が負っている。
ここは自分の力で走る道なんだ。

ただし、この道にガソリンスタンドは無い・・・。
ここでは自分の生命を燃焼させて走るんだ。
魂は、生命を燃え上がらせて疾駆するんだ。

道の果て
旅の目的は分っている・・・つもりだ。
でも、それを言葉ではうまく言い表せないでいる。
それは、この道の先、遙か向こうなんだ、とぼんやりと感じている。
僕は、その遙か彼方へ辿り着くことはできるだろうか・・・。

文明社会の果て、ネットの混沌、情報の洪水、渦巻く欲望・・・。
あまりの喧騒や暗闇に道を見失いそうになる。
でも、そんなとき、一瞬だが暗闇を照らす輝きがある。
そう、それこそが彼らの生命の火花、魂の輝きなんだ。
僕は、心に刻んだ彼らの軌跡を目印にして、暗闇の中を独り走り続ける・・・。

彼らは何者なのだろう。
彼らは新しい時代の先駆者かもしれない。
あるいは、滅びゆく生物種なのかもしれない。

でも、そんなことは僕には何であろうとかまわない。

ただ、一つだけ確かなことがある!

”彼らの描いた軌跡は、なんて美しいんだ!”

僕にはそれだけで十分なんだ!