萱草(わすれぐさ)
倉臼ヒロ
茅鎌子 使いもせず 萱草
(ぼうけんす) (わすれぐさ)
蹲踞した 蝦蟇が降魔する 我は修羅
(そんきょ)(がま)(がま)
黒猫の 銀髪寒に いだかれる
(かん)
(「倉臼ヒロ句集 萱草」より抜粋。)
萱草 … [わすれぐさ] かんぞう。ユリ科ヘメロカリス属(ワスレグサ属)の多年草の総称。
葉は刀身状。夏、黄や橙色のユリに似た大きい花を数個開き、1日でしぼむ。
「萱」と「茅」、どちらも和語で〈かや〉ということで対応しています。
茅鎌子 … [ぼうけんす] 安い鎌を指す。
蹲踞 … [そんきょ] うずくまること。
蝦蟇 … [がま] ひきがえる。
降魔 … [ごうま] 悪魔を退治して降伏させること。[がま]と転化して発声されることもある。
降魔の剣を持つ不動明王の怖い顔から、降魔(がま)を恐ろしい様の意味で使う表現もある。
例:降魔(がま)の相。
修羅 … [しゅら] 阿修羅のこと。人類に危害を加え不幸を招来する魔神。悪鬼・魔族の総称。