2006年8月6日

大原美術館


大原美術館 は東洋随一の私立美術館です。


大原美術館は本館、分館、工芸館、東洋館から構成され、数多くの収蔵品を展示しています。
たとえ、ひとつの国のナショナルギャラリーとしても、十分通用する収蔵品・名品の数々です。

収蔵品には、エル・グレコ、セザンヌ、ゴーギャン、ドガ、モネ、ルノワール、マチス、イヴ・クライン、フォンタナ、ポロック、イサム・ノグチ、ヘンリー・ムーア、ロダン、児島虎次郎、岸田劉生、棟方志功など名だたる芸術家の作品があります。

また、近代絵画だけでなく、前衛芸術まで展示されています。

さらに、中国、エジプト、イラン、ギリシア、ローマなどの古代美術や日本の工芸品なども展示されています。

まさに世界規模で文化遺産・美術品を広く収蔵しています。


これらは大原孫三郎 が残した貴重な遺産です。


彼はお金の使い方の達人でした。
労働、福祉、芸術、学術など多岐に渡る社会事業に財産を投じてきました。
本当に生きたお金の使い方といえるでしょう。

(孤児院を創設した石井十次 との出会いが、彼を大きく変えたようです。)


21世紀になって多くのアーティストが、アートとお金の関わりについて意識するようになりました。

村上隆の「芸術起業論」 のように、ビジネスを強く意識したアプローチもあります。

一方で、次のような宮沢賢治の「農民芸術概論」 が思い出されたりします。

ずゐぶん忙がしく仕事もつらい。
もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい。
・・・・・・
いまわれらにはただ労働が 生存があるばかりである。
・・・・・・
芸術はいまわれらを離れ然もわびしく堕落した。
いま芸術家とは真善若くは美を独占し販るものである。
われらに購ふべき力もなく 又さるものを必要とせぬ。
いまやわれらは新たに正しき道を行き われらの美をば創らねばならぬ。
・・・・・・
強く正しく生活せよ 苦難を避けず直進せよ。
・・・・・・
正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。
われらは世界のまことの幸福を索ねよう 求道すでに道である。

(宮沢賢治「農民芸術概論」 より抜粋)

今よりも厳しい時代にありながら、宮沢賢治はとても高い理想を抱いて実践していたことに驚かされます。

「農民芸術論」が書かれた時代は、作品に触れる機会さえも難しかったのかもしれません・・・。

でも、倉敷には大原美術館があります。


子どもたちが大原美術館のような美術に間近に触れられることは、とても貴重な体験だと思います。
子どもたちの感性を豊かなものにしてくれます。子どもたちの心を豊かにしてくれます。
すぐには成果は見えません。でも、心のどこかに蓄えられて豊かな人生の糧になると思います。

大原美術館は、先人が残したとても貴重な礎で、身近に触れられる私たちはとても幸せです。