2006年12月3日

トモコさん


トモコさんは富山在住の詩人です。

しかしながら岡山での活動も多く、Okayama poetry night、mimucusなどの朗読イベントへの参加、自主制作映画への詩の提供など、幅広く活躍されています。

彼女のブログ「花を摘みながら歩こう」 は、ぐいぐい読める優れたエッセイ集です。

トモコさんの詩はいつも平明な言葉で語りかけてきます。私が彼女の詩から感じるのは、力強さと切実さ。

触れようにも触れられない
形のない魂を抱きたい
もしもそれが叶うなら
君の胸にメスを入れたい
君も僕のこの胸を切り開いてくれないか
魂で抱き合いたいんだ

(合同詩集「デスペラード3」より「今夜すべての魂が」)

寺山修司 は見るためにまぶたを裂こうと詠ったのでした。剃刀の刃には地平が映った。心の中でかまえたメスには何が映るのか。この詩には風景は一切描かれていません。もっと言えば、行為以前の願望だけが書かれている。語り手の彼には「君」以外を見る余裕などないのです。彼はひたすら、君・君・君と「君」への思いをたたみかける。トモコさんの詩の中にはときどき、世界のもどかしさに歯ぎしりする十代の少年が住んでいます。

詩集に友人と共同発行した詩集「デスペラード」があります。

このブログでは、詩作品「すりこぎ」 を掲載しています。