2006年4月30日

ケイタイトンボ

-ケイタイトンボ-

けいたいでんわが
ぶるぶる


あきあかねが
すいすい


僕をよんでいる
とまる枝を
さがしながら

夕日は
するする


しずんでいくよ

僕はずっと
ムシしていたよ

のばしたアンテナ
その先に

アキアカネはとまったよ

けいたいでんわ
死んじゃった

僕のこころも
死んじゃった


2006年4月29日

MABITOさん


MABITO(まびと)さんは、詩人・アーティストです。

彼の詩は、小鳥たちに語りかけるようなイノセンスな詩から実験的な詩まで多岐に渡っています。

思想的には、仏教や物理学などからインスピレーションを受けているようです。
また、ダリ 、H.R.ギーガー 、四谷シモン 、ハンス・ベルメール からも影響を受けたようです。

活動は詩にとどまらず、音楽やアートをこよなく愛し、自らも創作するアーティストです。
即興詩や路上での朗読や絵画活動も行なっています。

MABITOさんは、ファッションがとてもオシャレな、とても細身・長身の青年です。

詩のボクシング岡山大会では実行委員も務められています。

このブログには、「キラキラ星」 、「ケイタイトンボ」 を掲載しています。
詩そのものは、とてもシンプルな言葉で語られているのだけれど、作者の宇宙的視点、深遠な宇宙からの眼差しのようなものがストレートに伝わってくるように感じます。

下記の2点は、MABITOさんの絵画作品です。
クリックすると拡大します。

 
「青い鳥」
              「悲しみが死へと誘う中、
               僕は美を求めることで
              生きながらえている。」

また、喫茶ラヂオスター にもMABITOさんの写真などの作品が展示されています。

なお、MABITOさんのホームサイトには、もっとたくさんの絵画作品が掲載されています。
是非、ご覧下さいね!

2006年4月25日

夜の劇場・地獄変


【夜の劇場・地獄変】

まっくらな夜の劇場で
道化師マイム舞う

無人です 無人の観客席
いやいや、無人じゃありません
あそこにホラ……人影が
無人のはずの観客席に
一人ぽつんと人影が

闇に慣れてきた目でじっと見てみたら
人影の顔
あれは僕です 僕の顔です

もうなにものも信じない深い皺、口の隣に一条刻んで
暗く氷結した凍てつく視線で、睨み付けるように道化師を見つめている
あれは観測者の目です!
理屈に魂を売り飛ばした無慈悲な批判家の目です!
そんな目で道化師を見ちゃあいけない!

ほらご覧なさい!
可哀相に、道化師はすっかり怯えて
あんなに足下すらおぼつかなくなってしまっている!
もうぼろぼろに無様なマイムを
それでも懸命に舞っている!
歯を食いしばって泣きながら
無様なマイムを舞っている!
無様です!いっそ無残です!これではまるで残酷ショーだ!

涙で化粧が剥がれかけているじゃあないですか
すっかり素顔が暴かれているじゃあないですか
憤りに涙滲む目でじっと見てたら
晒し出されたあの道化師の顔
あれは僕です僕の顔です

歯を食いしばって無様にそれでも懸命な道化師の僕と
理屈に魂を売り飛ばした冷血で無慈悲な批判家の僕と
それを見つめて憤っているのは――――僕?

たぶん僕です
背負わされた怨みに憤り、世の理不尽に憤り
いつでも挑みかかるような目に灼熱の炎を宿して
毒を吐く、叩き伏せる
何もかもをぶち壊してしまいたいとさえ願っている
それは僕です
修羅の僕です

修羅の僕は批判家の僕をぶち殺してしまいたいとさえ願ったのですが
道化師の僕があんまり哀しく踊り続けていますので
どうしようもなくいたたまれなくてただ震えているのです
白くなるほど拳を握り
血が零れるほど唇噛んで
この劇場を吹き飛ばしてしまえ!
なにもかも吹き飛ばしてしまえ!
ああそうだとも!
あの道化師さえいなければとっくにそうしていたに違いない!
けれど駄目だ駄目だ!
あの道化師にだけは俺はそんな真似をしたくないのだ!

朝はまだずうっと遠い先です
月の光も届きはしないこの劇場で
地獄です地獄です
此処はこの世でも一等の地獄です

2006年4月24日

地獄の唄 ~ワルプルギス・ハレルヤ~


【地獄の唄 ~ワルプルギス・ハレルヤ~】
 
臨・兵・闘・者・皆・陳・裂・在・前
江月照らし、松風吹く、永夜清宵、何の所為ぞ?
江月照らし、松風吹く、永夜清宵、何の所為ぞ?
バン ウン タラク キリク アク

地獄がある
大通りにたたずんでいる
少年の中に地獄がある
アグラ・アラリタ・マルクトゥ!
ヘカス・エスタ・ベベロイ!
インフェルノ!
インフェルノ!
エヘイエ・ケオス!
エヘイエ・ツェレマ・ケオス!
少年の中に地獄がある

逆巻いている
うねりを上げている
地獄がある
大通りにたたずんでいる
少年の中に地獄がある
少年を取り巻く世界には
仮面をつけた人間しかいない
仮面と
仮面を
仮面も
仮面が
そして口々に呟いている
陀羅尼を
意味もわからぬ
押しつけがましい偽善の呪文を
アニ・マニ・マネ・ママネ・シレ・シャリテ
アニ・マニ・マネ・ママネ・シレ・シャリテ
アニ・マニ・マネ・ママネ・シレ・シャリテ
アニ・マニ・マネ・ママネ・シレ・シャリテ
仮面の口から漏れる言葉が
絡みつく
苦しめる
地獄をはらんだ少年を
痛めつけている
打ちのめしている
騙している
裏切っている
殺している
何度でも殺している
繰り返し殺している
毎日殺し続けている
仮面が
陀羅尼が
偽善に満ちた
すべての世界が

そして今
ついに地獄が解き放たれる!
コキュートス!
少年の目が殺意に凍てつく!
第一の地獄、カイーナ!
父よ!母よ!
第二の地獄、アンテノーラ!
国よ!社会よ!
第三の地獄、トロメーア!
友よ!恋人よ!
最終地獄、ジュデッカ!
おお!永遠の地獄、ジュデッカ!
裏切りを覆い隠すすべての偽善者よ!
裏切りをひた隠し取り澄ましたこの世界よ!
コキュートス!
今こそ地獄の扉が開く!
コキュートス!
地獄が世界に解き放たれる!

地獄が広がる
地獄が広がる
少年から
地獄が広がる
広がる
呑み込んで行く
世界を
仮面をつけた人々を
パペ・サタン!パペ・サタン!
仮面の人々が地獄に飲まれ
パペ・サタン!パペ・サタン!
引き裂かれる
食い千切られる
少年の地獄に
解き放たれた少年の殺意に

死体が転がる
死体が転がる
引き裂かれた
食い千切られた
死体が転がる
仮面を剥がれて
その正体をムキ出しにして
死体が転がる
死体が転がる
そして地獄の風が吹く
積み上げられた死体の上を
地獄の風が吹きぬけて行く
すると死体の咽喉(のど)が鳴る
吹きぬける風に
死体の咽喉が喘息患者の吐息を漏らす
ひゅうひゅうと
ひゅうひゅうと
無数の死体の咽喉が鳴る
やがて連なる地獄の音色
ザーザース ザーザース ナースタナーダー ザーザース
ザーザース ザーザース ナースタナーダー ザーザース
ザーザース ザーザース ナースタナーダー ザーザース
ザーザース ザーザース ナースタナーダー ザーザース
死体の咽喉が鳴る
吹きぬける風に
地獄の風に咽喉が鳴る
声にも似て

やがて少年も
滅んでいく
朽ち果てていく
地獄の真ん中で
少年は叫ぶ
イア・イア・ハスター!
ハスター・クフアヤク・ブルグトム・ブグトラグルン
ブルグトム・アイ・アイ・ハスター!
朽ちて行く
崩れ落ちて行く
爆心地の少年が
呪いながら
世界を呪いながら
それでも撒き散らす
いつまでもやりきれない怨嗟と
なにに向けたのかも定かではない憎悪と
そして
殺意
殺意
地獄が広がる
少年が朽ち果てる
地獄の核(コア)として
永遠の殺意としてその魂が叫んでいる
イア・イア・ハスター!
ハスター・クフアヤク・ブルグトム・ブグトラグルン
ブルグトム・アイ・アイ・ハスター!
呪われよ!
呪われよ!
地獄の真ん中で
少年の魂が叫んでいる
朽ち果てながら
崩れ落ちながら

ふるべ
ゆらゆらとふるべ
ふるべ
ふるべゆらゆらと
かくゆらかしまつれば
まられるたまもいきかえりなんと
おしえたまいしみおやのおしえのまにまに
いつはやきみしるしあらしめたまえ

すべてを見ていた
見届けていた
ただ一人引き篭もりの青年が
地獄の中でただ一人
自室に引き篭もり
それゆえ仮面を必要としない
無力でひ弱な青年が
彼は聞いた
広がる地獄の外
それでも陀羅尼を唱え続ける人々の声を
彼は見た
広がる地獄の外
それでも偽善を崇める仮面の世界を
彼は聞いた
死体の声を
偽善を剥がれたその正体を
彼は見た
死体の姿を
醜く爛れた偽善の末路を
彼は聞いた
呪いの声を
滅び行く魂の叫んだ声を
彼は見た
呪いそのものの姿を
朽ち果てて行く少年を

やがて彼は祈り始める
両手で顔を覆い隠して
哀しみに肩を震わせて
引き篭もりのその青年が呟く祈りは
かつて髑髏(ドクロ)の丘の上
人々の罪を一身に背負い
十字架に血を流して死んだ男が
最期に叫んだ嘆きの言葉と
まったく同じ呟きだった
エリ・エリ・レマ・サバ・クタニ
エリ・エリ・レマ・サバ・クタニ
エリ・エリ・レマ・サバ・クタニ
エリ・エリ・レマ・サバ・クタニ

仮面の世界に
地獄が広がる
朽ち果てた少年を核(コア)として
罪の世界に
裁きが広がる
青年は呟いている
いつまでも呟いている
エリ・エリ・レマ・サバ・クタニ
エリ・エリ・レマ・サバ・クタニ……

江月照らし、松風吹く、永夜清宵、何の所為ぞ?
江月照らし、松風吹く、永夜清宵、何の所為ぞ?
……そもさん、何の所為ぞ!

アーメェン……

2006年4月23日

巨人の残像

【巨人の残像】
おとうさん
おかあさん
ほら見てください
月明かりの中浮かび上がるあの山の影
あそこに巨人がじっと潜んで
僕を見つめているのです
巨人は身じろぎひとつせず
ただただ僕を見つめています
そんな時僕は決まって泣いているのです

おとうさん
おかあさん
あなたがたが感情にまかせて僕を殴りつけた時
あなたがたが苛立ちの捌け口として僕を罵る時
巨人は身じろぎひとつせず
ただただ僕を見つめていました
そんな時僕は決まって泣いているのです

我慢できなくなって僕が家を飛び出したあの日
(僕は産まれてきたのを呪い)
夜の道を独りでさまよいながら
(僕はこの世のすべてを呪い)
ただとぼとぼと歩いていたのです

あの日
巨人はいませんでした

そして今
僕が感情にまかせて誰かを殴りつけた時
僕が苛立ちの捌け口として誰かを罵る時
巨人は身じろぎひとつせず
ただただ僕を見つめています
そんな時巨人は決まって泣いているのです

巨人はあの頃よりひとまわり大きくなって
ずうっと潜んでいるのです
そこかしこの山の影
いつでも巨人がじっと潜んで
僕を見つめているのです
巨人は身じろぎひとつせず
ただただ僕を見つめています
そんな時巨人は決まって泣いているのです

僕の心が血の涙を流さないわけでもなかったのですが
僕はただ巨人に「ざまあみろ」と
そう言う事しかできやしない
そう言う事しかできやしないのです

2006年4月16日

石井敏弘先生


石井敏弘先生は岡山在住の小説家です。

第33回江戸川乱歩賞を受賞されています。

作品には、「風のターン・ロード 」、「龍王伝説殺人事件 」、「業火 」などがあります。



また、株式会社フォーシーズンと提携し、各地でミステリー・イベントを開催したりしています。

また、岡山商科大学で講師をされています。

現在、小説創作集団「ZEPHYR」 を立ち上げて新たな創作活動を試みられています。

詳しくは下記のホームサイトをご覧下さい。

2006年4月15日

甲斐蘭蕃先生


甲斐蘭蕃先生は小説家です。

作品には、「徳望お伽文書―黄金伝説謎草子 」があります。

また、講談社文庫(推理・SFフェア)でショートショート「カーニバル」が入選されています。

また、航空史研究チームを結成し、江戸時代に日本で初めて空を飛んだと伝えられる「表具師・幸吉」の翼を復原・顕彰に努められています。

2006年4月10日

H.Tさんインタビュー


感覚が大事なのは、共感が大事だから
―― H.Tさんの詩は、一見、不条理詩のように不思議に感じられますが?
ワザと自分で意味をボヤかしていますね。その方が広がるでしょ。勝手に解釈する人がいて。
―― 詩にメッセージを決めているわけではない?
メッセージというのは言葉のことですよね。言葉は無いです。僕が表したいのは触感ですね。
―― 感覚として残るものですよね。そこで目指すものとは?
目指すものというのは人との「共感」ですね。わかります?感覚は誰もが持っているでしょ。すると、共感できるんですよ。共感すると人は救われるんですよ。たとえ、それが残酷な共感であっても、汚い共感であっても、共感すること自体で人っていうのは救われるんですね。だから、僕は感覚を主体とした表現を主にしてやっています。もちろん好みもありますが、メッセージと感覚だったら、僕は感覚が好きですね。
―― ちなみに、どういった感覚が好きなんですか?
僕、溶けるのが好きなんですよ。例えば、氷が溶けたりするでしょ、蝋燭が溶けたりするでしょ。ああいうの見ると僕、すーごく楽しいんですよ。何時間でも見てられるんですね。あと、固まるのも好きなんですよ。だから、氷を溶かしては固めて、固めては溶かしてというのよくやってましたね、子供の頃。
―― H.Tさんにとって、お笑いとは何ですか?
サービスですね。メッセージ性を強く求めてる人は感覚からは遠いでしょ。だから、そういう人には「こいつはもう笑わせたいだけなんだ」と思ってくれたらいい。それで喜んでもらえたらいい。
―― 昔、お笑い芸人を目指していたわけじゃないですよね(笑)
じゃないですけど(笑)、いや~、失語症だったんですよ、僕は。学校では笑いを取ることでしか、人と接触することができなかったからかもしれません。不得手だから自分の存在を確かめたかったから。笑いはいくつかの手段の中のひとつ。だから、いくつも手段を用意してるのは、逃げかもしれない。


演劇から詩へ!
―― H.Tさんは大学時代演劇部でしたが、演劇をはじめたきっかけは?
高校時代に夜中に受験勉強してるときに、テレビでつかこうへいさんの舞台をやってて何時間も釘付けになりましたね。今までの演劇と全く違ってました。「こりゃ違う!」と。
―― 何がそんなに他の舞台と違ったの?非日常的というか、セリフのテンポやセリフのボリューム、役者の演技・表情などですね。
―― つかこうへいさんは熱い話が多いような気がしますが、熱いのが好きなの?
熱いの好きなんですよ~!「あしたのジョー」とか好きなんですよ!あと、「北斗の拳」とか大好きですよ(笑)立ち読みしてて涙流してたら、バイトの人におまえは馬鹿かと言われました(笑)。
―― どんなシーンで涙流すの?
サウザーとか(笑)。「愛ゆえに哀しみ!愛ゆえに苦しみ!ならば!愛などいらん!」、そこでケンシロウが「ならば、俺は愛のために闘おう!」(笑)。
―― もしかして、好きなキャラクターはサウザー?(笑)
サウザーって俺だなあって(笑)
―― スラムダンクとかも好き?
三井が大暴れした後に安西先生に「僕はバスケがしたいです!」、泣けたなあ(笑)・・・でも、現実はそんなに甘くないんですけどね。だって三井君は練習していないのに、あんなにバスケがうまいじゃないですか・・・。
―― 結局、演劇をやっていたのは、何年間ですか?
3年間ですね。大学入ってすぐの頃は演技なんて知りませんでしたから、裏方やってました。だから、役者をやってたのは3年間ですね。
―― 大学の演劇部を卒業した後は?
一人でやってましたね。それから、東京に役者志望で試験を受けに行きましたね。俳優座。連れの親友が合格して自分は落ちました(笑)。それから、書くものも認められなくって・・・。
―― 演劇で表現したいものは何だったんですか?
演劇って合議制なんですよね。自分がやりたいことができないんですよね。だから、一人で脚本を書いて、一人で役者やって・・・。
―― 演劇自体に対する熱は冷めたわけではない?
冷めてはいないけど、今は贅肉ついっちゃってダメかも。

H.Tさんにとっての詩とは、リーディングとは
―― H.Tさんにとって、詩だけではないリーディングとは何ですか?
僕がやっているのは芝居ですね。一人表現ですね。
―― H.Tさんは自分の表現は詩ではないとよくおっしゃられていますが?
そうですね・・・。
―― H.Tさんにとって、詩の定義はどのようなものですか?
紙の上だけでも成立する、リズムや音韻なりを使った言葉を使った表現方法が詩なのかなあ。
ただ、自分の場合は原稿用紙の上だけでは成立しないと思うんです。体と声を通してでないと伝わらないと思うんですね。
―― あの不思議な身振り手振りは意識してやってるんですか?それとも無意識で出ちゃうのかな?
秘密です、企業秘密です(笑)。
―― それは詩のライブを大切したいってことですよね?
そうですね。だから、機能していないリーディングを見ると紙だけ回して見てもらえばいいじゃないか!と思うんですよ。何でわざわざ声を出して、何で顔を出して読むの!?と。
―― H.Tさんのリーディングは原稿も持たないし、完成度が高いですよね。
いや、満足してないんですよ。また、満足しちゃってもいけないと思っているんですよ。


創作について
―― どんなときに詩は生まれてきますか?
夏目漱石の「夢十夜」という作品の中で運慶が金剛力士像を彫っていて漱石が自分でも彫れるかなと思って彫ってみるが、うまく彫れないんだ。それで友達に聞くと、あれは彫っているんじゃないんだ。元々、あらかじめ中身が詰まってるものを出してるんだって。それを掘り出してるだけなんだ。それと同じですよ。
―― あらかじめ何かあるわけですね?
何某かあるんでしょうね。
―― 出てきた言葉に対しては推敲はするの?
推敲しますよ。携帯電話にメモ帳があってメモして言葉を重ねてゆきますね。こればっかりじゃあないですけどね。
―― 書くための決まったスタイルは特にない?
特にないですが、それはダメだとプロの書き手さんに怒られました。岡山に滞在していたプロの書き手さんに助けてもらったんですよ。毎日、赤いマジックで文章書いて送ってたんですよ。そしたら、呼び出されておまえは馬鹿かと、でも、文章はいいよって。それで自信を持てて助けられたんですよ。
―― 好きな文章や文体とかはありますか?
文体とかは意識的にはないですね。無意識的にはあるかもしれないですね。ただ、意識してはないですね。
―― 好きな詩人は?
町田康、まどみちお、峠貫吉。あと、谷川俊太郎。
―― 好きな作家は?
井伏鱒二、内田百間、稲垣足穂ですね。
―― ばらばらな気がしますね?何か共通点はありますか?
感覚。全部、感覚と言うと、ちょっと卑怯ですが・・・。分析してもわからない、ひっかかる何かがある。何か、おもしろさが伝わってくる。感覚派とメッセージ派の両極端に分けても、すごく良い感覚派の詩は伝わると思います。良い詩は誰にでも伝わります。


言葉を解き放ってあげたい・・・
―― メッセージやイデオロギーなどに何か強い反発心を感じますが?
ありますね!イデオロギーだけに絞られるのは言葉がもったいない気がする。言葉が泣いている気がする・・・、表現が泣いている気がする・・・。だって、そいつのものになっちゃう。言葉は舞台に立たしてあげて、演出してあげるものでしょ。自分が調教して犬みたいに首輪につなぐものじゃないでしょ。
―― H.Tさんにとって、言葉って生き物みたい?
そうですね。鳥ですよね。空を飛ばしてあげたいじゃないですか。カゴに閉じ込めていないで。だから、メッセージって鳥カゴに見えちゃうんですよね、僕は。
―― 昔は結構、大変な時期もあったみたいだけど?
昔は、あしたのジョーみたいでしたね。力石徹を殺した後のジョーみたいに死に場所を探していましたね・・・。死ぬためにリングに上がっているジョーみたいな・・・。
―― H.Tさんの死生観は?
人間同士は繋がっていると思います。人間って遺伝子が違うだけで、形が違うだけで、下で繋がっているのかなあって小学校の頃から感じてます・・・。だから、共感もあるのかなあって。
―― H.Tさんにとっての、詩のボクシングとは?
あれは意義があるでしょ!今のところ、詩に需要がないでしょ。詩の需要を広げるための手段ですよ!「詩に需要はあるのか!?」って言った人がいましたが、ある訳ないですよ!
―― ・・・H.Tさんは普通でいう詩をやるつもりはない?
やるつもりはないですね。まあ、楽しみにしていてください!
―― 今後の予定は?
働きつつ、活動を続けてゆきますよ。
―― 最終目標は?
とりあえず、ずっと表現に関わっていたいですね・・・。
「『誰がしてくれる!?』という行為は、きっと子が気付いてくれる」って。僕はそれをしなければならない、したいんですよ。
(2004.12.23 市内某所にて収録)

2006年4月9日

紙石鹸


「紙石鹸」     作者 H.T 


道行く人の誰もが僕の顔を一瞥して過ぎてゆく。

必ずだ。

その理由が最近わかった。

僕が相手の眼をこちらに向くまで
見つめ続けているからだ。

安心した。

僕は紙石鹸をいつもポケットに
忍ばせている。

2006年4月8日

H.Tさん


H.Tさんは、詩人・パフォーマンスアーティストです。

代表作には、「東京」や「紙石鹸」があります。

彼の詩は、日常空間を緊迫した非日常空間に変換します。
まるで剣士たちの全身全霊を賭けた真剣勝負の空間、絶体絶命の間合いに変幻させます。そして、そこに禅のような無や空を現出させます。観客は、ぽっかり開いた空隙の引力に言葉の意味を剥ぎ取られて言語の彼岸にまで連れ去られてしまいます。

また、パフォーマンスで表現される彼のライブは、書かれた言葉を超絶的に超え出ていきます。
言葉では表現できない何かを彼のパフォーマンスは、実に見事に表現していました。

また、「第4回詩のボクシング岡山大会」のチャンピオンです。

このブログでは、「紙石鹸」 を掲載しています。

また、インタビュー も掲載しています。

彼は、まさに鬼神のような詩人、侍のような表現者でした。
そして、普段はとても素直で生真面目な青年でした。

2006年4月2日

On the FreeWay

旅の始まり
人生も半ばを過ぎたころ、僕は道に迷ってしまった・・・。
わけもわからず、僕は闇の中を駆け出していた。
そして、気がつけば、FreeWayでヒッチハイクをしながら旅をしていた・・・。

僕は旅をしながら、いろいろな人に出会った。
陽気な歌を教えてくれた人、
弾丸のように駆け抜けていった人、
力強く飛び立っていった人
本当にいろんな人に出会った・・・。

彼らが去った後、足元を見てみると、アスファルトには彼らの痕跡が残っていた。
彼らは鋭くとがった魂のエッジで、アスファルトに熱く焼けた痕跡を刻んでいったんだ。
僕は彼らの痕跡に手で触れて、彼らの温もりや彼らの鼓動を感じようとした。
火傷するほど熱い痕跡もあったし、安らげるような柔らかな暖かい痕跡もあった。

彼らは流星のように火花を飛び散らせながらFreeWayを駆け抜けていった。
彼らの生命が瞬いてみせる一瞬の煌めきが僕を魅了してやまない。
ここには、そんな流星たちの軌跡が刻まれている。

FreeWayは自由な道
FreeWayは、無料道路であり、高速道路であり、情報スーパーハイウェイだ。
この道には、様々な車やバイクが走っている。
時には歩いている人だっている。
普通車はもちろん、スポーツカーや商用車、トラックから、
果てはトラクターまで走っている。
時には暴走族や盗難車も走っている。故障車や乗り捨てられた車もある。
道の端には、露店が並んで楽しげに商売をしている人もいる。
時には接触して口角泡を飛ばして喧嘩をしている者もいる。
ここは誰もが自分のスタイルで走るFreeWayなんだ。

ここの道路整備はいいかげんだ。
アスファルトはところどころで割れ目がのぞいている。
交通事故が起こっても救急車は助けにこない。
また、野宿するときもあるだろうし、車を捨てて歩き出すことになるかもしれない。
道から外れると、カモシカやコヨーテに出会うかもしれない。
食べ物だって、いつ手に入るかわからない。
愛らしい瞳の野うさぎを捕まえて、
生きるために彼らの生命を奪うことになるかもしれない。
あるいは、逆に狼の餌食になるかもしれない。

この道では、すべての責任は自分自身が負っている。
ここは自分の力で走る道なんだ。

ただし、この道にガソリンスタンドは無い・・・。
ここでは自分の生命を燃焼させて走るんだ。
魂は、生命を燃え上がらせて疾駆するんだ。

道の果て
旅の目的は分っている・・・つもりだ。
でも、それを言葉ではうまく言い表せないでいる。
それは、この道の先、遙か向こうなんだ、とぼんやりと感じている。
僕は、その遙か彼方へ辿り着くことはできるだろうか・・・。

文明社会の果て、ネットの混沌、情報の洪水、渦巻く欲望・・・。
あまりの喧騒や暗闇に道を見失いそうになる。
でも、そんなとき、一瞬だが暗闇を照らす輝きがある。
そう、それこそが彼らの生命の火花、魂の輝きなんだ。
僕は、心に刻んだ彼らの軌跡を目印にして、暗闇の中を独り走り続ける・・・。

彼らは何者なのだろう。
彼らは新しい時代の先駆者かもしれない。
あるいは、滅びゆく生物種なのかもしれない。

でも、そんなことは僕には何であろうとかまわない。

ただ、一つだけ確かなことがある!

”彼らの描いた軌跡は、なんて美しいんだ!”

僕にはそれだけで十分なんだ!

2006年4月1日

FreeWayのご案内

出会った人たちを紹介!
僕が出会った詩人・作家・アーティストを紹介していこうと思います。
出会った人たちは、創作されたり、表現されたり、モノ作りをされたりしています。
そんなアーティストやクリエイターたちを紹介していこうと思います。

作品も紹介!
彼らの作品も紹介していきます。
彼らの作品に触れることで、幸せや感動や衝撃を受けることでしょう。
もしかしたら、あなたの中で新しい何かが芽生えるかもしれません。
彼らの作品に触れることで、人生が変わってしまうかもしれませんよ。
もっと詳しく知りたいときは、本人のサイトをご覧下さいね。
このサイトより、さらに詳しい情報が得られると思います。

出会いは贈り物なんです!
僕にとって出会いは贈り物で、作品は宝物です!作者にとっては、作品は授かり物です!
この美しい作品、この愛らしい作品、この素晴らしい作品をたくさんのひとに知ってもらいたいのです!
そして、みんなでこの作品たちの感動を分かち合いましょう!